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整理解雇

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 整理解雇とは、企業が会社を存続させる上で経営上必要とされる人員削減のために行う解雇のことです。

整理解雇は使用者の経営上の理由に基づいて行われますので、労働契約法16条にいう「客観的に合理的な理由」として考えられている「経営上の必要性に基づく理由」と考えられますが、日本では一般的に長期雇用慣行が存在することから、その解雇は、解雇権濫用法理の適用において、より厳しく判断されると考えられています。

 

正規従業員の雇用を基本とする長期雇用システムが採用されている場合においては、雇用調整は、残業規制、中途採用の停止、新規採用の縮減・停止、配転、雇止め等、他の手段を講じた上で行われます。

そして、他の手段を講じても対処できないほどの人員削減が必要とされる場合でも、希望退職の募集が行われるのが一般的です。

 

企業は、これら他の手段により解雇回避の努力をする信義則上の義務(解雇回避努力義務)を負います。他の手段を試みずになされた整理解雇については、解雇権の濫用と判断されることになります(下記裁判例による基準2.整理解雇の必要性)。

そこで、整理解雇が行われるのは、上記の他の手段を講じる際に、それに応じない従業員を解雇する場合や、上記手法が樹立されていない企業(例 外資系企業等)の場合が多くなります。

 

整理解雇が解雇権濫用となるか否かの基準については、裁判例によれば、

1.人員削減の必要性(例 東洋酸素事件 東京高判昭和54年10月29日等)

2.人員削減の手段として整理解雇を選択することの必要性(例 あさひ保育園事件 最判昭和58年10月27日等)

3.被解雇者選定の妥当性(例 労働大学事件 東京地決平成13年5月17日等)

4.手続の妥当性

という、4つの要素から整理解雇の有効性を判断し、これらの要素に関する諸事情の総合的な判断によりなされることが多いです。

いずれかの要素に問題があれば、整理解雇は無効と判断されます。

 

ただし、経済状況を背景とし、市場競争の激化や企業再編の等の動向を踏まえ、近年、裁判例は、各要素の判断内容において、部分的に緩和する傾向もみられます(人員削減の必要性につき、北海道交運事業協同組合事件 札幌地判平成12年4月25日等)(解雇回避努力義務につき、シンガポール・デベロップメント銀行事件 大阪地判平成12年6月23日等)。

 

しかし、部分的に緩和する傾向はあるものの、いずれかの要素に問題があれば、それを理由として、整理解雇が無効と判断されています。

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