未払い残業代請求が企業を揺るがす危機になる理由と解決策
未払い残業代請求が企業を揺るがす危機になる理由と解決策
未払い残業代に関する問題は、多くの企業経営者にとって避けては通れないリスクです。一見、ささいに見える残業代の未払い問題が、最終的には高額な訴訟や社会的な信用の低下、さらには企業存続の危機にまで発展することもあります。本記事では、未払い残業代請求のリスクとその対応策について、経営者の視点に立って解説します。
未払い残業代問題の深刻な影響
「従業員から突然、未払い残業代を請求された」「労働基準監督署から是正勧告を受けた」などの相談は、日常的に寄せられます。これらの問題が解決に至らない場合、経営者にとって以下のリスクが発生します:
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高額な支払い義務
未払い残業代には基本賃金の25%以上の割増賃金が適用され、さらに遅延利息や付加金が加算されます。過去の事例では、数百万円から数千万円規模の支払いを命じられたケースもあります。 -
法的措置や信用の低下
訴訟や労働審判を起こされると、膨大な手間と費用が発生するだけでなく、企業イメージの悪化にもつながります。特に労働基準監督署の是正勧告が報道されると、取引先や顧客との関係にも悪影響を及ぼします。 -
経営者の健康被害
労使紛争が長引くと、精神的な負担で経営者自身の体調を崩してしまうことも珍しくありません。
経営者が抱えがちな誤解
残業代請求に直面した際、経営者がよく持つ反論には以下のようなものがあります:
- 「基本給に残業代を含めている」
- 「管理職手当で対応している」
- 「従業員が勝手に残業しているだけだ」
しかし、これらの主張は裁判所で認められない場合がほとんどです。特に労働基準法は労働者に有利な運用がされるため、明確な証拠や法的根拠をもとに対応する必要があります。
事例から学ぶ教訓
過去の判例では、経営者が予想もしなかった形で労働時間が認定されることがあります。例えば:
- 旅行添乗員のケース
事業場外みなし労働時間制が適用されず、2300万円の未払い残業代が認定された。 - タイムカードの管理ミス
始業から終業までのすべてが労働時間とみなされた。
これらの事例からわかるように、法律と現場の認識の違いがトラブルを拡大させる要因となります。
未払い残業代問題への対策
問題の未然防止と早期解決には、以下の対応が有効です:
- 就業規則の整備
残業に関するルールを明確化し、労働者に周知することが必要です。 - 労働時間管理の徹底
タイムカードや勤怠管理システムを活用し、適切な労働時間の記録を保持します。 - 専門家への相談
未払い残業代請求に関するトラブルが発生した場合、早急に労務問題に精通した弁護士に相談することが重要です。
当事務所の取り組み
当事務所では、未払い残業代問題に直面した経営者の方に向けて、以下のサポートを提供しています:
- トラブル発生時の迅速な対応
法的根拠に基づいた従業員との交渉を代行します。 - 予防策の提案
就業規則の改定や職場環境の改善を通じて、未然にトラブルを防ぎます。
「早期解決」のみならず、企業にとって最善の「勝利」を追求することを信条としております。
未払い残業代問題は企業経営における大きなリスクですが、正しい知識と適切な対策を取ることで防ぐことが可能です。お悩みの際は、ぜひ当事務所の労務問題専門弁護士にご相談ください。企業経営のパートナーとして、全力でサポートいたします。

前田尚一法律事務所 代表弁護士
北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校・北海道大学法学部卒。
私は、さまざまな訴訟に取り組むとともに、顧問弁護士としては、直接自分自身で常時30社を超える企業を担当しながら、30年を超える弁護士経験と実績を積んできました。
使用者側弁護士として取り組んできた労働・労務・労使問題は、企業法務として注力している主要分野のひとつです。安易・拙速な妥協が災いしてしまった企業の依頼を受け、札幌高等裁判所あるいは北海道労働委員会では埒が明かない事案を、最高裁判所、中央労働委員会まで持ち込み、高裁判決を破棄してもらったり、勝訴的和解を成立させた事例もあります。