労働組合との団体交渉-経営者が直面する現実と対策
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労働組合との団体交渉-経営者が直面する現実と対策
従業員とのトラブルは、通常は個別対応で済むケースが多いですが、ある日突然、労働組合との交渉という事態に直面することがあります。このとき、経営者が経験するのは、まさに「料理方法を知り尽くしたプロ」との対決です。
労働組合との対決-経営者に求められる準備とは?
労働組合の上部団体やユニオンは、経営者が嫌がるポイントを熟知しており、執拗な要求や主張を繰り返します。「社長の出席」「決算書の提出」など、具体的な要求には過去の判例で法的裏付けがある場合もあります。そのため、安易に対応を進めると、意図せず不利な立場に追い込まれることになりかねません。
例えば、団体交渉における誠実交渉義務の例として、社長が出席せずにゼロ回答を続けた結果、不当労働行為と認定された判例があります。このように、労働組合との交渉は法律的な知識と戦略が不可欠です。
経営者が直面する困難
団体交渉では、何度も会議を重ねる必要があり、その過程で経営者自らが参加しなければならない場面も出てきます。慣れない交渉や繰り返される要求により、多くの経営者が精神的に追い詰められることがあります。実際、私の経験でも、交渉が原因で健康を害した経営者を数多く見てきました。
対策の鍵-リーダーシップと専門的サポート
労働組合問題の解決には「リーダーシップ」を取ることが不可欠です。しかし、不慣れな状況でこれを実行するのは非常に難しいのが現実です。その結果、動けば動くほど状況が悪化し、リーダーシップを労働組合側に奪われることが多々あります。
ここで重要なのが、専門的なサポートです。当事務所では、労働委員会で不当労働行為が認定された事案を、中央労働委員会で勝訴的和解を成立させて実質的に覆したり、最高裁判所まで争い抜いた案件もあります。専門的な知識と実績を基に、最適な解決策を提案し、経営者をサポートする体制を整えています。
まとめ-早期対応が成功への鍵
労使紛争は早期の対応が成功の鍵です。ただし、拙速な妥協は将来に禍根を残す可能性があります。専門家の助けを借りて、慎重に対応することが重要です。
労働組合との問題に直面している経営者の方は、ぜひ当事務所にご相談ください。私たちの経験とノウハウで、貴社に最適な解決策をご提供します。
お客さまの声
〇会社専務(代表者の後継予定)・40代・男性
会社は、札幌以外の地方都市にありますが、先生とは顧問契約を結び、一泊二日で札幌に赴き、毎月一度のコンサルを受けさせてもらっています。
話は多岐に渡りますが、毎日仕事に追われている中で現場を離れ、私なりのリラックス、ストレス解消の機会にもなっています。
さて、お付き合いの始まりは、もう10年以上前になります。
父の経営する会社で、現場従業員のAの解雇問題で、労働組合が結成されました。 私は専務になったばかりのころで満28歳のときでした。 社長である父が側近として雇ったBが、本人が言うほどに営業の成績を上げることが出来ないことから、父との関係が悪くなっていたころに、ちょうど解雇問題がおきたのです。 Bが音頭をとって、他の従業員ほとんどを引き入れ、地元の上部団体に駆け込み、組合を結成し執行委員長となったのでした。
2回目の団体交渉から私が対応することになり、ほとんど一人で団体交渉に臨むことになったのです。 団体交渉で、相手をするのは組合員となった従業員だけではありません。もう60歳近い闘志を始めとする数名が上部団体からの会社に乗り込んできて、数々の要求をしてきたのです。
当初はどのように対応したらよいか全くわからず、問題解決のため真正面から対応しようとしたのですが、10数名からただただ罵倒される日々が続いたのでした。
正直、その日の団体交渉を終え、家に帰って大好物のビールを飲んでも美味しく感じず、酔うこともできず、眠れない日々が続きました。
そのようなとき、信頼できる方の紹介で先生に対応をお願いし、同席してもらうようになり、流れが変わりました。
私だけのときは、組合はただただ罵倒して一方的に有利な要求を何か私に約束させようとばかりしていました。 先生が出席するようになってから、そうもいかなくなりました。 すると今度は、手を変え、専務ではなく社長を出せとか、会社の決算書をだせとか、会社からすると本論とは関係がないと思われることばかりを要求してきました。 2、3か月綱の引き合いはありましたが、先生には、2、3度出席してもらった結果、社長が出席することも、決算書を提出することもなく、解雇問題については、妥結することができました。
しかし、一旦組合ができた後は、何を決めるにも組合を通せということになり、賃上げ時期になると春闘で団体交渉を繰り返すということになりました。
一度は、組合が突然ストを行うといって,シンパが何十人も会社の回りに集まったこともあります。しかし、会社としても大変でしたが、そのときも一応の手配をし、組合の思うがままにはならないよう対応できました。
三度、労働委委員会までいったこともあります。
その場でも、組合側は分が悪くなると、専務ではなく社長を出せとか、会社の決算書をだせと言い出します。 このときも、上手く対応していただき、このような相手方の要求に応じることなく、会社が想定した内容で解決することができました。
結局、その後まもなく、Aは個人的理由で退職しました。
その後、Bと他の組合員が組合費のことで対立したとのことで、B以外の組合員全員が組合を脱退しました。
まもなく、病気を理由に会社をさぼっていたことがばれたBは、会社を退職しました。
そのため、組合は自然消滅し、今は存在していませんが、労働問題は全く発生していません。
前田尚一法律事務所 代表弁護士
北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校・北海道大学法学部卒。
私は、さまざまな訴訟に取り組むとともに、顧問弁護士としては、直接自分自身で常時30社を超える企業を担当しながら、30年を超える弁護士経験と実績を積んできました。
使用者側弁護士として取り組んできた労働・労務・労使問題は、企業法務として注力している主要分野のひとつです。安易・拙速な妥協が災いしてしまった企業の依頼を受け、札幌高等裁判所あるいは北海道労働委員会では埒が明かない事案を、最高裁判所、中央労働委員会まで持ち込み、高裁判決を破棄してもらったり、勝訴的和解を成立させた事例もあります。