他人事ではない。怖~い労働組合との団体交渉:札幌の弁護士が使用者側の対応・心構えを相談・アドバイス
団体交渉事例
-- 会社は、札幌市ではありませんが,先生とは顧問契約を結び、毎月一度一泊二日で札幌に来て、コンサルを受けさせてもらっています。毎日仕事に追われている中で現場を離れ、私なりのリラックス、ストレス解消の機会にもなっています。
前田 お付き合いのきっかけは、もう十数年前になりますね。
-- 私は専務になったばかりで満28歳のときです。社長の父がAを解雇した途端、労働組合が結成されたました。社長である父が側近として雇ったBが、本人が言うほどに営業の成績を上げることができず、父との関係が悪くなっていました。Bが音頭をとって、他の従業員ほとんどを引き入れ、地元の上部団体に駆け込み、組合を結成し執行委員長となったのでした。
前田 対応を任されたのでしたね。
-- 2回目の団交(団体交渉)から私が対応することになり、ほとんど一人で団体交渉に臨むことになりました。相手は従業員だけではありません。数名が上部団体から乗り込んできました。
前田 未経験のことで大変だったでしょう。
-- 正直、その日の団体交渉を終え、家に帰って大好物のビールを飲んでも美味しく感じず、酔うこともできず、眠れない日々が続きました。問題解決のため真正面から対応しようとしても、10数名から罵倒される日々が続いたのです。
前田 そのころですね、ご紹介で、私がお手伝いすることにあったのは。
-- 団交に、同席してもらうようになり、流れが変わりました。
私だけのときは、組合はた一方的に数々の要求をして私に約束させようとばかりしていました。
先生が出席するようになってから、そうもいかなくなりました。
前田 そうは言っても、戦術を変えてきましたね。
-- 今考えると、さすがその道のプロ達です。会社からすると本論とは関係がないと思われることでしたが、専務ではなく社長を出せとか、会社の決算書をだせなどと要求してきました。
2、3か月綱の引き合いはありましたが、先生には、2、3度出席してもらった結果、社長が出席することも、決算書を提出することもなく、解雇問題については、妥結することができました。
前田 組合ができると、良い悪いはともかく、それまでなかった対応が必要となりますね。
-- 何を決めるにも組合を通せと要求されます。昇給時期になると春闘で団交を繰り返すということになりました。組合が突然ストを行うといって、シンパが何十人も会社の回りに集まったこともありました。大変でしたが、場面を想定して、手配をし組合の思うがままにはならないよう対応できました。
前田 北海道労働委員会までいったこともありますね。
-- そのときも、組合側は、戦術として、専務ではなく社長を出せとか、会社の決算書をだせと言い出します。このような相手方の要求に応じることなく、会社が想定した内容で解決することができました。横で見ていていろいろと対応のしかたがあるものだなぁと思いました。
前田 現在、労使関係は良好ですか。
-- 最後の労働委委員会で和解が成立してまもなく、Aは個人的理由で退職しました。Bは他の組合員が組合費のことで対立したとのことで、B以外の組合員全員が組合を脱退しました。まもなく、Bは、病気を理由に会社をさぼっていたことがばれた会社を退職していきました。組合は自然消滅しました。以降、労働問題は全く発生していません。
(注)北海道労働委員会:労働者と使用者の間におこった紛争の解決を図るための北海道の行政機関。ただし,経営者側からすると,労働者側・労働組合側寄りで処理するという印象が強い。
(2015年1月の記事です。)
前田尚一法律事務所 代表弁護士
北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校・北海道大学法学部卒。
私は、さまざまな訴訟に取り組むとともに、顧問弁護士としては、直接自分自身で常時30社を超える企業を担当しながら、30年を超える弁護士経験と実績を積んできました。
使用者側弁護士として取り組んできた労働・労務・労使問題は、企業法務として注力している主要分野のひとつです。安易・拙速な妥協が災いしてしまった企業の依頼を受け、札幌高等裁判所あるいは北海道労働委員会では埒が明かない事案を、最高裁判所、中央労働委員会まで持ち込み、高裁判決を破棄してもらったり、勝訴的和解を成立させた事例もあります。