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労働災害の補償(概要)

労働者が労務に従事したことにより被った、死亡や負傷、疾病等を労働災害といいます。

   労働基準法には、労働者が業務上負傷し、疾病にかかり、または死亡した場合には使用者は補償を行うべきことが定めらています。

   この補償として、療養補償(労働基準法75条)、休業補償(76条)、障害補償(77条)、遺族補償(79条)、葬祭料(80条)、打切補償(81条)、分割補償(82条)などが規定されています。

   通常の市民法によるならば、労働者が使用者に対してする損害賠償責任は、過失責任となり、過失の存在と、過失と災害との間の因果関係の存在等の立証が要求されることになります。

   さらに、現実に被った損害も立証しなければなりません。

   しかし、労働災害は、企業の営利活動に伴い生じる現象です。そして、企業活動により利益を得ているのは使用者です。

   そこで、労働災害については、使用者に損害の補償を行わせ、労働者を保護しようという考え方となります。

   この考え方のもとで作られたのが、労災補償制度です。

すなわち、労働者が労務に従事したことにより生じた事故による死亡・負傷や一定の業務に従事する者の一定の疾病については、使用者は、過失の有無を問わず、労働者に対して、一定率で算定される額の補償をすべきとされています。

そして、この労災補償制度を填補するため、社会保障制度の一環として、労災保険制度が存在することになります。

   そこで、労働基準法には、労災保険法に基づいて労働基準法の補償に相当する給付が行われるべきである場合は、使用者は、その価額の限度において、補償の責任を免れることが規定されています(労働基準法84条1項)。

   このように、労働保険法による補償が重要になってきますと、労働基準法は、労働補償の基本法ではありますが、労災保険法が労災補償のかなりの部分を担うこととなります。

   この労災保険は、非適用事業および暫定任意適用事業を除き、労働者を使用する全事業が強制適用事業となっておりまして、労働保険の保険関係は、事業の開始された日に成立し(労働保険料徴収法3条)、政府が事業主から保険料を徴収しています。

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