退職した従業員に対する損害賠償請求
使用者としては、従業員(労働者)の辞職に際しては、辞職による損害の賠償をしろと要求をしたくなることがあります。
ある日突然出社しなくなった従業員に代わって、業者、弁護士から、一方的な退職通知が送られてくる「退職代行」が横行しており、心情としては、使用者の考えも理解できるところです。
しかし、辞職については民法627条から629条に従って法的に処理され(例えば、貴殿の定めのない労働契約の場合であれば、解約の申入れの効果は2週間後に発生というのが原則 詳細はこちらよりご覧ください)、労働者は、辞職それ自体について使用者に対し損害賠償責任を負わないのが原則です。
辞職の効果が発生するわずかの期間について、引継ぎなどの労働義務が誠実に果たされていないと主張しても、自分で退職の意思を伝えることさえできず、退職代行に頼るほかないような従業員ができる引継ぎのレベルなど知れており、「損害」というほどでもないということも多いでしょう。
辞職それ自体+αの場合、損害賠償責任を追及することができる場合もありますが、なかなか思ったとおり損害の主張立証をするのは難しく、十分検討した上で訴えを提起するなどしなければ、訴えを提起することはもちろん、一定の法的措置をとることが採算が合わないということにもなりかねません。
退職した従業員に対して損害賠償を請求しようと思い至った場合は、債務不履行責任又は不法行為責任の一般的な法律要件を検討する必要があることはいうまでもありませんが、使用者にとってが無視できないほどのこの「+α」が、「損害」として法的保護の対象となるものであり、しかもその立証ができるかどうかといった慎重、細心の専門的な検討が必要となります。
私は、依頼者にとって「勝ち負け」は何かということにこだわります。
私は、これまで多種多様な訴訟に取り組み、顧問弁護士としては常時30社を超える企業を直接担当しながら、弁護士歴30年を超える経験と実績を積んできました。この経験と実績に裏付けられた強みを活用し、依頼先企業の実態・実情に加え、企業独自の志向、そして経営者のキャラクター・パーソナリティーまでも踏まえた紛争の予防・解決を実現することに取り組んでいます。
退職した従業員に対する損害賠償請求を考えている経営者の方は、ぜひ当事務所までご連絡ください。
前田尚一法律事務所 代表弁護士
北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校・北海道大学法学部卒。
私は、さまざまな訴訟に取り組むとともに、顧問弁護士としては、直接自分自身で常時30社を超える企業を担当しながら、30年を超える弁護士経験と実績を積んできました。
使用者側弁護士として取り組んできた労働・労務・労使問題は、企業法務として注力している主要分野のひとつです。安易・拙速な妥協が災いしてしまった企業の依頼を受け、札幌高等裁判所あるいは北海道労働委員会では埒が明かない事案を、最高裁判所、中央労働委員会まで持ち込み、高裁判決を破棄してもらったり、勝訴的和解を成立させた事例もあります。