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下請企業労働者と使用者(安全配慮義務):札幌の弁護士が使用者側の対応・心構えを相談・アドバイス

 

 

労働契約法5条は、使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする、と定めています。

   この規定は、使用者の安全配慮義務を定めたものであり、そして、この義務には契約上の根拠規定は不要であることになります。

   そうしますと、この規定は直接の労働契約関係にない者に対して安全配慮義務を負う可能性があることになりますから、問題となる類型として、元請企業・発注者の下請企業労働者に対する義務が考えられます。

   下請企業は、下請企業の労働者につきまして、労働契約に基づき安全配慮義務を負っています。

   しかしながら、一般的には、下請企業は経営基盤が安定せず、賠償資力にも乏しい場合が多いと考えらえます。

   他方、元請企業や発注者は比較的経営基盤が安定している場合が多く見受けられます。

   そこで、元請企業が下請企業労働者に対して安全配慮義務が負っているかが問題となります。

   この点を判断するにつき、就労実態に応じて個別に検討がなされますが、典型的には、裁判所は、下請企業労働者が元請企業の管理する設備等を使用したか否か、事実上企業の指揮監督を受けて稼働していたか否か、作業内容等を上げ、労働契約類似の労務の管理支配性を前提として、安全配慮義務が認められるとしています(三菱重工事件  最判平成3年4月11日)。

  また、結果的には注文者の安全配慮義務を否定し、元請企業及び下請企業の孫請企業労働者に対する安全配慮義務を肯定した事案におきましては、注文者が単に仕事の結果を享受するにとどまらず、請負人の雇用する労働者から実質的に雇用関係に基づいて労働の提供を受けていると同視しうる状態が生じていると認められる場合には、その間に雇用関係が存在しなくとも、信義則上、注文者は当該労働者に対し、使用者が負う安全配慮義務と同様の安全配慮義務を負うものと解するのが相当であり、これは、注文者、請負会社及び下請会社と孫請会社の従業員との間においても同様に妥当すると判断しています(中部電力ほか事件  静岡地判平成24年3月23日)。

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