メンタルヘルス:札幌の弁護士が使用者側の対応・心構えを相談・アドバイス
◎弁護士による従業員支援プログラム(EAP)について
ーメンタルヘルス対策の一考
最近,職場でのストレスから,精神面での不調を訴える声が増えています。時として,うつ病等の病を発症し,仕事が手につかない,仕事をやめる,等の状況に陥る方もいます。最悪の場合,自ら命を絶ってしまうこともあります。このようにメンタルヘルスに関連する問題は,放置しておくと手遅れになることがありますから,日頃からチェックしておくことが大切です。
安易な対応は禁物!!メンタルヘルス対策
「メンタルヘルスの疑いがある従業員がいて、十分な仕事ができていない」
「出勤してもぼーっとしている状態が続いている」
このような社員がいる場合、使用者としては、解雇したいという思いを持つでしょう。
「解雇」のページでも伝えているように、安易に社員を解雇することは、大きなリスクをはらんでいるのです。
例えば、メンタルヘルス問題の原因が何らかの業務によるものだ!ということが認められた場合、使用者側は、その療養休業期間及びその後30日間は、法令上原則としてこの社員の解雇はできません。
たとえ、30日後であってもメンタルヘルスになった理由が業務にあるということになれば、残業代問題や団体交渉に発展しかねないのです。
メンタルヘルス防止に取り組む重要性
メンタルヘルス問題は、あらゆる形で会社に損害をもたらしますが、自分自身も仕事をしながら、1人1人の社員の様子を把握することは簡単なことではありません。
そもそも、「仕事はつらい時だってあるのは当たり前だ!!!」という考えを押し付けるのではなく、
メンタルヘルス問題を抱える社員がいるあるいはいそうだという場合は、それぞれのケースに合わせて対応し、
労使問題への発展を防止した方がいいです。
メンタルヘルス企業の義務と責任と範囲
仕事のストレスが原因でうつ病になってしまった場合,その社員の仕事がどんなに滞っていたとしても,病気それ自体を理由として解雇するのは難しいです。また,その社員が辞職や自死をした場合,労災が適用され,労災によって賄われない範囲については,企業が賠償責任を負わなければならなくなります。
裁判所の判断の積み重ねである,判例によりますと,企業は,社員の生命と健康などを危険から保護するよう配慮すべき義務を負っています。これを「安全配慮義務」と呼びます。長時間労働の結果,労働者がうつ病を発症し,自殺してしまった事例において,裁判所は「使用者は,その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し,業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負う」と判断しました(電通事件,最二小判平12・3・24民集54巻3号1155頁)。このような安全配慮義務に違反したと判断されれば,企業は莫大な額の賠償金を支払うことになります。
平成26年6月の労働安全衛生法改正により,常時50人以上の労働者を使用する事業主は,「心理的な負担等を把握するための検査等」を毎年実施しなければならなくなりました。これを,いわゆる「ストレスチェック制度」と呼びます。ストレスチェックの目的は,精神疾患の発見ではなく,メンタルヘルス不調の未然防止にあるとされていますが,メンタルヘルス問題の解決に向けて一定の役割を果たすことが期待されています。
当事務所では、
①メンタルヘルス問題を抱える社員がいる場合の対応
②メンタルヘルス問題を未然に防ぐための就業規則の整備や職場環境の改善に関して、法律の理解、行政の運用を前提に、
実態を踏まえた適切なアドバイス
をいたします。
過労死問題などが大きな注目を集めている現在、特にメンタルヘルス問題への配慮は必須でしょう。
ぜひ法律相談をご利用下さい。
前田尚一法律事務所 代表弁護士
北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校・北海道大学法学部卒。
私は、さまざまな訴訟に取り組むとともに、顧問弁護士としては、直接自分自身で常時30社を超える企業を担当しながら、30年を超える弁護士経験と実績を積んできました。
使用者側弁護士として取り組んできた労働・労務・労使問題は、企業法務として注力している主要分野のひとつです。安易・拙速な妥協が災いしてしまった企業の依頼を受け、札幌高等裁判所あるいは北海道労働委員会では埒が明かない事案を、最高裁判所、中央労働委員会まで持ち込み、高裁判決を破棄してもらったり、勝訴的和解を成立させた事例もあります。