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形ばかりの「働き方改革」

 政府が協力に推進する「働き方改革」(注1)は、「日本の労働慣行は大きな転換を迎える」「企業は生産性の向上に取り組まなければ、新しい働き方の時代に成長が望めなくなる」などと報じられています。
 しかし、企業が、「働き方改革」をスローガンに終わらせず、有効に機能させるためには、具体的に有効な施策が必要です。

 ところが、具体的な施策として目立っているのは、勤怠管理など労務・人事関連の手続をITで簡素化するなど手続の合理化することを主軸とするもののようです。
 HRテック呼ばれるサービスが急速に普及していますが、HRテックという言葉は、HR(Human Resources)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語です。現在、「○○テック」という造語が大はやりで、金融とテクノロジーを掛け合わせたフィンテック(FinTech)など、「〇〇テック」という言葉はご存じでしょう。違う場面ですが、「〇〇ハラ」といった造語が次々と生まれるのと似ています。
 

 そして、それどころか、「人手不足」による生産性の確保のための、RPA(ロボスティック・プロセス・オートメーション)導入などテクノロジーの発達、AIの進化による方策は、「働き方改革」どころか、それを超えたところで動きだしている、例えば、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、セブン&アイ・ホールディングスなど超大手が打ち出したリストラ策を支える技術として活用されているのが現状です。

 しかし、いかにテクノロジー、AIの進化で解決可能な領域が拡大しようとも、組織には、生身の人間の存在が不可欠です。構造的な「人手不足」の対策として、5年後はともかくとして、少なくとも現状では、無人化・機械化、外国人雇用などといったで方策は、限界があります。

 ところで、料理宅配サービス「ウーバーイーツ」(Uber Eats)の配達員らが、今年10月、労働組合「ウーバーイーツユニオンを結成しました。
 人手不足の時代、飲食店が料理の出前(デリバリー)をすべて外注化できる仕組みとして脚光を浴びていたのが、米配車サービス大手の日本法人「ウーバージャパン」が運営するこのサービスです(「デリバリーを通して、お店の「美味しい」をお届けします」)。利用者が飲食店に宅配を注文すると、ウーバーイーツのシステムが自動的に、配達依頼専用アプリに登録している多数の配達員の中から最適なひとりを選んで配達依頼をかける。そして、依頼を受けた配達員が飲食店に料理を取りに行き、自前のバイクや自転車で届ける。インターネット、テクノロジー、AIを駆使した効率化の極みの仕組みで、自由に働くことを求める配達員としても、単発の仕事受注で収入を得ることができる形態です。
 しかし、ウーバー社とは、個人事業主という立場で雇用関係にはなく、怪我をしても労災が認められないなど不安定な労働環境に置かれていることから労組が結成されたのです。「生産性向上」が、テクノロジーの活用といった効率化の面でばかり一人歩きしだすと、「ウーバーイーツ」のような事態となります。労組結成は、労使のミスマッチの典型的場面の一つです。

 組織には、生身の人間の存在が不可欠で、無人化・機械化、外国人雇用などといったで方策に限界があることは、中小企業であればなおさらです。

 ところで、注目されるのは、「従業員支援プログラム(EAP)」です。従業員のメンタルヘルスを通して、職場内または個人の問題を支援します。アルコールや薬物によって業務に支障をきたす事例が多いアメリカで発祥しました。以下こちらをどうぞ。

 

(注1)働き方改革
 我が国は、「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」などの状況に直面してる中、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題になっているとされます。
 政府は、「働き方改革」は、この課題の解決のため、働く人の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く人一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指すとしています。
 「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が成立し、平成30年7月6日公布されました。

(注2)使用者の安全配慮義務
 労働契約法第5条は、使用者は当然に安全配慮義務を負うことを規定しています。
(労働者の安全への配慮)
第5条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
 「労働契約法」は、平成20年3月から施行された法律ですが、この法律で明文化されるまで、安全配慮義務は民法等の規定では明文化されていませんでした。
 通常の場合、労働者は、使用者の指定した場所に配置され、使用者の供給する設備、器具等を用いて労働に従事するのが通常であることから、「陸上自衛隊事件」(最高裁昭和50年2月25日第三小法廷判決)、「川義事件」(最高裁昭和59年4月10日第三小法廷判決)など判例において、労働契約の内容として具体的に定めずとも、労働契約に伴い信義則上当然に、使用者は、労働者を危険から保護するよう配慮すべき安全配慮義務を負っているものとされてきたものでした。

(注3)ストレスチェック制度の義務化
 ストレスチェック制度は、「改正労働安全衛生法」(平成27年12月施行)で義務付けられました。
 ストレスチェック制度は、定期的に労働者のストレスの状況について検査を行い、本人にその結果を通知して自らのストレスの状況について気付きを促し、個人のメンタルヘルス不調のリスクを低減させるとともに、検査結果を集団的に分析し、職場環境の改善につなげることによって、労働者がメンタルヘルス不調になることを未然に防止することを主な目的としたものです。

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