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就業規則の効力(労働契約規律効)

労働契約法上、就業規則には労働契約規律効があります。

労働契約法は、その7条において、「労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする」(労働契約法7条本文)としています。

また、但書では、「ただし労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については…この限りではない」としています。

つまり、労働契約の締結に際しては、就業規則とは異なる個別的な特約をしない限りは、労働者は就業規則に従うことを前提として労働契約に入ったことになると考えられます。

この規定は、就業規則の法的規範性である、労働契約を規律する効力を規定したものとされており、当該事業場で労働者集団に周知させていた既存の就業規則が、採用の際の労働契約に対して効力を有することとなります。

労働契約規律効が生じるための要件としては、1.使用者が就業規則を労働者に周知させていたこと、2.就業規則が合理的な労働条件を定めていること、が必要となります。

1.について、周知とは、事業場の労働者集団に対して、実質的にみて、就業規則の内容を知りうる状態においていたことと考えられています。

つまり、労働者が、採用時に実際に就業規則の内容を知ったかどうかではなく、採用時や採用後に就業規則の内容を知ることができるようにしておくことが必要とされています。

そして、労働基準法に定められている届出(労働基準法89条)、意見聴取(労働基準法90条)については、就業規則の変更の場合は必要となりますが、採用の際に労働契約規律効が生じるためには必要ないと考えられています。

2.について、合理的な労働条件とは、就業規則を変更する場合の変更の内容とプロセス全体に渡る合理性ではなく、就業規則が定める労働条件それ自体の合理性を意味しています。

これは、採用の際の人事管理上の必要性があり、労働者の権利・利益を不相当に制限していなければ合理性があると考えられています。

そして、労働契約規律効は、労働者と使用者間で就業規則よりも有利な労働条件を合意していた部分については生じないこととなります(労働契約法7条但書)。また、就業規則とは異なる個別的特約が、就業規則の定める労働条件の基準に達しない場合には、就業規則の最低基準効により、就業規則の労働条件が労働契約の内容を規律することになります。

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