TOP >  労務問題法律・総集編 >  労働基準法等の適用範囲②(具体例)

労働基準法等の適用範囲②(具体例)

労働基準法の適用範囲について

労働基準法上の労働者とは、労働者を、職業の種類を問わず、事業または事務所に使用される者で、賃金を支払われる者、と定義されます(9条)。

事業とは、一定の場所において相関連する組織のもとに業として継続的に行われる作業の一体をいうとされています。

使用されとは、指揮命令下の労務の提供を意味します。

賃金とは、名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものを意味します。

この労働者に該当するかは否かについては、具体的にいくつかの問題があります。

経営者か労働者かが問題となる場合

具体的に問題となるのは、例えば、企業における役員の取り扱いです。

これについては会社法との関係もありますが、企業の経営にあたる役員であれば、労働者とは異なる地位と責任が定められていますから、労働者にはあたらない、という判断となる可能性が高く、それどころか、会社における労働法規上の義務違反につき、損害賠償責任を負う場合もあります。

ただし、いわゆる執行役員の場合や、使用人兼取締役のように役員としての業務と従業員としての業務が並存している場合、労働者性が肯定されたり(船橋労基署長事件判決)、役員としての待遇と従業員としての待遇及び法的保護を共に受ける可能性があります。

また、役員に昇任後も、前管理職者としての業務も引き続き行なっている場合も、労働者としての地位の保持・並存が認められる場合があります(アンダーソンテクノロジー事件判決)。

個人事業者か労働者かが問題となる場合

雇用ではなく、委任または請負契約の形式がとられているため、報酬が歩合制や出来高払であったり、就業規則の適用が排除されていたりするという場合があります。

この場合は、契約の形式ではなく、労働関係の実態において、事業に使用されかつ賃金を支払われている労働関係と認められるかを判断することになります。

専門的裁量的労務供給者の場合

高度の専門的能力、資格または知識を持つ者が、特定事業組織の中で労務を提供しているが、労務の遂行自体については具体的な指揮命令を受けず独立している場合、労働者といえるのかも問題となります。

この場合は、職務の内容や質量において使用者の基本的な指揮命令の下にあって労務を提供し報酬を得ているという関係にあれば、労働者に該当します。

電話フリーダイヤル24時間 相談の流れ 申し込みフォーム