労働問題
労務トラブルが企業の屋台骨を揺るがす!!
最近、未払残業代の支払を請求されたり、セクハラ・パワハラ・メンタルヘルス問題で損害賠償請求をされる事例が増えています。
また、私がこれまで担当してきた事例を見ても、社長が従業員を解雇して、紛争に発展し、労働組合問題が発生し、収拾がつかなくなりかけたこともあります。
自分に対する態度が気に入らない社員を解雇しようとした。
入社時に病気を患っていたにもかかわらず、それを隠していた社員を解雇しようとした。
社員がノルマを達成しないので、社員を解雇しようとした。
という ようなことがこれまで、実際にありました。
社長にとっては「辞めさせられて当然だ」と思う気持ちが強いと思います。
そのお気持ちはよく分かります。
しかし、気をつけてください。解雇して当然という思い込みによって、簡単に従業員を解雇してはいけません。日本の解雇事由は極めて厳しいものなのです。それがたとえ、パートスタッフであってもです。
もし、社長がそういうことをしていると、他の従業員との信頼関係までもが壊れてしまう可能性が高くなります。最初は大きなヒビではなかったとしても、それが積み重なることで、ダムが決壊するかのような大惨事となって会社を襲ってきます。
労働問題の現実
実際に私の担当した事例では、解雇した従業員が、上部団体に駆け込んで、他の従業員と共に組合を作って、団体交渉を求め、他の社員6、7人と上部団体6、7人と徒党を組んで会社に乗り込み、「社長は直ちに解雇を撤回し、謝罪せよ!」と要求してきたのです。団体交渉の場でも、上部団体から来た外部の人間が現れて、いきなり、こんなことを言うのです。
「経営コンサルタントなんかに、お金を払うんだったら、経営者なんか要らない。そんなことにお金を払
うんだったら、従業員の給料を上げろ」
「社長は海外旅行に何回も行ってるのに、従業員に給与を支払えないとは何事だ!」
「そんなことも知らないんだったら、社長を辞めろ!」
「病院で院長が携帯電話を鳴らしてるなんて、信じられない!そんな院長の言うことなんか、信用できない!」
こんなヒドイことを言われるなんて、思わないですよね。
こんなことを1対1ではなくて、1人対15人とかで言われたら、どうですか?
しかし、これが労働問題の現実です。
労働問題が起きてしまったら?
労働問題が起きてしまってから、社長が一人で事態の収拾に当たるのはかなり至難の業だと思います。
1対1では問題解決ができないと思ったから、労働者側も徒党を組んでいるわけです。
それに、社長が1人で向かっていくのはいくら社長とはいえ、大人数に1人で喧嘩を挑んでるようなものです。せめて、1人ぐらい法律の専門家である弁護士を味方につけて、団体交渉に挑んでも良いのではないでしょうか。
もし、社長が1人で交渉したら、どうなるでしょうか?
ほぼ、間違いなく社長も感情的になります。
「何、言ってるんだ!こいつらは!」と。
そうすると、話の発端は「解雇」に関しての話だったのが、「残業代の計算方法」「有給休暇の日数」などなど、これまでは眠っていた問題を掘り起こすことにさえ、なってくるのです。
気の強い社長であれば、団体交渉の場で「うるせえ、バカヤロー!」と怒ってしまって、益々不利な立場に追い込まれてしまうかもしれませんし、気が弱い社長であれば、団体交渉の場で「そんなに言うんだったら、これで良いか」とハンコを押してしまうかもしれません。
従業員側は団体交渉専門の上部団体の構成員を何度も何度も連れてくるわけです。
団体交渉になれてない社長が戦おうと思っても、かなり難しいです。
労働問題には労働問題のやり方があるのです。
・団体交渉をどのようにするか
・労働組合の要求をどのように検討して、受け入れるか
・上部組合員との交渉の仕方
・交渉終了後の労働組合の取扱い方法
私、前田尚一はこれまで数々の労働問題を担当してきております。
前田尚一法律事務所 代表弁護士
北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校・北海道大学法学部卒。
私は、さまざまな訴訟に取り組むとともに、顧問弁護士としては、直接自分自身で常時30社を超える企業を担当しながら、30年を超える弁護士経験と実績を積んできました。
使用者側弁護士として取り組んできた労働・労務・労使問題は、企業法務として注力している主要分野のひとつです。安易・拙速な妥協が災いしてしまった企業の依頼を受け、札幌高等裁判所あるいは北海道労働委員会では埒が明かない事案を、最高裁判所、中央労働委員会まで持ち込み、高裁判決を破棄してもらったり、勝訴的和解を成立させた事例もあります。