中小企業のための 「働き方改革関連法」・「コロナ禍」対応達成度チェックシート
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次のチェックシートで上げる重要項目では、それチェックされない場合には違法というものもありますが、あくまで達成度確認が目的であり全ての項目がチェックされない場合に違法というわけではありません。しかし、使用者側が、事業経営を効率的に有利にする上で重要な事項ばかりですので、チェックされない項目がある場合には就業規則の有効な活用が制限されている状態ということになります。
一つでもチェックできない事項がある場合には、就業規則の見直しの機会とすることをお勧めいたします。せっかくの機会です。ぜひ当事務所にご相談ください。
また、次のページでは「使用者にとっての就業規則の意味」【重要】を解説していますので、合わせてご覧ください。
1 全 般
□ 現在,少なくとも,働き方改革関連法の改正事項・コロナ禍(ウィズコロナ・アフターコロナ)対応以外については,次の要件を満たした就業規則がある。
・ 就業規則に、法律で必ず記載しなければならないと定められている事項(絶対的記載事項)を全て網羅されている。
・ 就業規則を作成・変更にあたり、過半数組合・過半数代表者の意見聴取をした上,所轄労働基準監督署長に届け出している。
・ 就業規則を常時、各作業場の見やすい場所に掲示するなどして労働者に周知している。
2「時間外労働(残業)時間の上限規制」関連
(改正事項は、中小企業の場合、2020年4月1日施行)
□ 時間外労働は、月45時間・年360時間の範囲内である。
□ 時間外労働又は休日労働が必要なので、36協定を締結し、所轄労働基準監督署署長へ届出している。
□ 時間外労働が月45時間,年360時間を超えることがある場合、特別条項付き36協定を締結し,届出を行っている。
□ 月60時間を超える時間外労働は、中小企業の割増賃金率は、現在25%であるが、この猶予措置が廃止され、2023年4月1日から50%となることを知っており、その対策を検討している。
□ 管理職や裁量労働・事業外労働等のみなし労働時間制が適用される人を含むすべての従業員の労働時間をタイムカードなどで適正に把握しており、状況の記録が作成され、保管されている。
□ 従業員の労働時間は、実働時間を適正に把握しており、後日争いが生じた場合、証明できる仕組みが出来ている。
□ 固定残業代制度を採用している場合、労働契約書・就業規則での規定、支給時の運用について、最高裁判所の判例で確定された基準に合致することを確認し、そのとおり実施されている
* 固定残業代が残業代と認められず、算定基礎賃金に含められ、意図に反して二重払い的扱いになることがあるので要注意
□ シフト制を活用したり、季節変動がある場合、法律の定めに従って就業規則に規定するなどした法定の「変形労働時間制」を採用している。
* 一定の期間で法定労働時間の弾力化することが認められず、1日8時間を超える労働時間はすべて残業時間とされ、割増賃金の対象とされることがあるので要注意
□ 「フレックスタイム制」「事業場外労働のみなし制」「裁量労働のみなし制」等の柔軟な労働時間制度を採用している場合、法定の要件を確認し、そのとおり実施している。
* 添乗員の業務に活用が違法とされた事例などがあるので要注意
□ 「高度プロフェッショナル制度」を新設し、選択する予定である。
□ 勤務間インターバル制度の普及促進について理解し、実施している。
□ 産業医・産業保健機能の強化について理解し、実施している。
3「1人1年あたり5日間の年次有給休暇の取得させることの義務化」関連
(改正事項は、中小企業の場合、2019年4月1日施行)
□ すべての従業員が、年次有給休暇を年5日以上取得している。
□ 労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、年次有給休暇付与日や残日数を従業員ごとにきちんと管理している。
□ 年次有給休暇の計画付与を実施している。
□ 使用者による年次有給休暇の時期指定を実施する場合は、時季指定の対象となる労働者の範囲及び時季指定の方法等について、就業規則の改正を終えている。
4「正社員と非正規社員の間の不合理な待遇差の禁止(雇用形態に関わらない公正な待遇の確保[同一労働・同一賃金])関連
(改正事項は、中小企業の場合、2021年4月1日施行)
*既に施行に先立ち最高裁がどんどん内容を具体化しており、注意が必要です。
□ 正社員(無期雇用フルタイム労働者)と非正規社員(パートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者)を雇用している
□ 不合理な待遇さをなくすための既定の整備ができている。
□ 非正規社員に対し、正社員との待遇差の内容や理由などについて説明できる。
5「コロナ禍(ウィズコロナ・アフターコロナ)対応」関連
□ コロナ禍対応としての休業・自宅待機に関する対処をしている。
□ 「テレワーク」(在宅勤務)に関する制度整備ができている。
前田尚一法律事務所 代表弁護士
北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校・北海道大学法学部卒。
私は、さまざまな訴訟に取り組むとともに、顧問弁護士としては、直接自分自身で常時30社を超える企業を担当しながら、30年を超える弁護士経験と実績を積んできました。
使用者側弁護士として取り組んできた労働・労務・労使問題は、企業法務として注力している主要分野のひとつです。安易・拙速な妥協が災いしてしまった企業の依頼を受け、札幌高等裁判所あるいは北海道労働委員会では埒が明かない事案を、最高裁判所、中央労働委員会まで持ち込み、高裁判決を破棄してもらったり、勝訴的和解を成立させた事例もあります。