パワーハラスメント
セクハラ・パワハラ対策・問題解決
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パワーハラスメントは、近年、労働関係の新たな違法行為の類型となっています。
労働局等に寄せられる相談数も急増していますし、紛争解決手続数も急増しています。
行政解釈によれば、職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えるまたは職場環境を悪化させる行為をいう、とされています。
一般的には、上司から部下への嫌がらせ等が問題視されていますが、パワーハラスメントとは、上記のように定義されますので、先輩・後輩間、同僚間、そして、部下から上司に対して行われるものも含まれます。
行為類型としても、嫌がらせや暴言等の精神的な苦痛を与える行為や、職務上の過大な要求等が問題視されやすいですが、その他にも、人間関係からの切り離しや、能力等からかけ離れた程度の低い仕事を命じたり仕事を与えないという過小な要求や、私的な事情に過度に立ち入ることなども、パワーハラスメントの行為類型とされています。
特に、過大・過小な要求や、私的事情への過度の立ち入りは、業務上の適正な指導との区別が困難な場合があります。
ですので、予め職場で共通認識をもち、範囲を明確にするなど、企業のルール策定や、教育、周知等が必要となってきます。
そして、現にパワーハラスメントが起こってしまった場合、起こした加害者に不法行為責任が生じるのは当然ですが、企業におきましても、使用者責任(民法715条)、労働契約上の安全配慮義務違反の問題が生じる可能性があります。
裁判例をみてみますと、退職勧奨を行う際や、上司が部下に対して、注意や指導を行う際に
多く問題となっており、企業組織もしくは職務上の指揮命令関係にある上司等が、職務を遂行する過程において、部下に対して、職務上の地位・権限を逸脱・濫用し、社会通念に照らし客観的な見地からみて、通常人が許容しうる範囲を著しく超えるような有形・無形の圧力を加える行為をした場合、不法行為となる(ザ・ウィンザー・ホテルズインターナショナル事件 東京高判平成25年2月27日)とされています。
前田尚一法律事務所 代表弁護士
北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校・北海道大学法学部卒。
私は、さまざまな訴訟に取り組むとともに、顧問弁護士としては、直接自分自身で常時30社を超える企業を担当しながら、30年を超える弁護士経験と実績を積んできました。
使用者側弁護士として取り組んできた労働・労務・労使問題は、企業法務として注力している主要分野のひとつです。安易・拙速な妥協が災いしてしまった企業の依頼を受け、札幌高等裁判所あるいは北海道労働委員会では埒が明かない事案を、最高裁判所、中央労働委員会まで持ち込み、高裁判決を破棄してもらったり、勝訴的和解を成立させた事例もあります。