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降格(役職の引下げ)

 

 

降格とは、職能資格制度におきまして、役職や職能資格を低下させることをいいます。職務等級制度におきましては、職務等級の引き下げをいいます。 降格には懲戒処分と人事権の行使があり、懲戒処分であれば各種規制に服すことになります。 降格が懲戒処分か人事権の行使かという判断につきましては、使用者による降格の意思表示を、形式や内容、経緯・手続などに照らして判断することになります。 裁判所の判断としては、就業規則に懲戒処分としての降格が規定されておらず、制裁としての降格であることが明らかではないことから、懲戒処分に当たらないと判断されたものがあります(医療法人財団東京厚生会事件 東京地判平成9年11月18日)。 人事権の行使としての降格である場合には、その効力につきましては、特別な根拠規定の要否、権利濫用の有無(労働契約法3条5項)が問題となります。 そして、役職の引下げと職能資格や職務等級の引下げとでは異なる基準が採用されています。 役職の引下げ 役職の引下げにつきましては、使用者の人事権は、労働者を企業組織の中で位置付け、役割を定める権限であることから、長期雇用システムにおきましては、労働契約上当然に使用者の権限と考えられています。 裁判所の判断におきましても、就業規則等に特別な根拠規定がなくてもなし得るとされています(エクイタブル生命保険事件 東京地決平成2年4月27日など)。 しかし、役職の引下げが、使用者が有する裁量権を逸脱し、社会通念上著しく妥当性を欠く場合には、権利濫用として違法・無効となります(3条5項)(医療法人財団東京厚生会厚生会事件 東京地判平成9年11月分18日など)。 ただし、役職の引下げは、労働者の適性や成績等を評価して行われる労働力配置の問題ですから、使用者の経営判断に属します。そこで、権利濫用となるか否かの判断につきましては、職能資格や職務等級の引下げの場合よりも緩やかに判断されています(日本レストランシステム事件 大阪地判平成16年1月23日など)。

 

 

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