テレワークの本質を考え,今こそ“防衛”せよ


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まずは,概要をどうぞ。

定着しつつある 
〝苦肉〟のテレワーク

「カルビー,単身赴任解除も在宅勤務,無期限で延長,出社率3割に」――緊急事態宣言の全面解除後に報道されたニュースサイトの見出しです。「無期限で延長」とは,コロナ禍の延長線上ではなく「新制度」であり,出社率を3割前後に抑えるという意味です。
 数カ月前まで,在宅勤務は非常時の苦肉の策という意味合いが強いものでした。企業が従業員への安全配慮義務を果たす上で自宅待機を命じるとなれば,給与の支払い義務の有無や程度の問題が生じるため,それを回避する手立てとしてテレワークが注目されました。
 厚生労働省は,テレワークを「感染防止に向けた柔軟な働き方」とし,新規導入に取り組む中小企業を支援しています。厚労省の「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」は,2017年の「働き方改革実行計画」を受け,18年に策定されたものであり,当時は大きな流れにはなりませんでした。
 しかし,コロナ禍で導入してみると,意外と勝手が良かった。企業側の「効率性」と従業員側の「通勤の苦痛がない」といったワークライフバランスが合致し,感染収束後も拡大すべきだとの回答(時事通信「労働に関する世論調査」)が7割にのぼったのです。

 

〝人減らし〟の序章?
在宅勤務拡大の裏

 こうした労働環境の変化はさておき,コロナ禍における企業の売上減・収益減が避けられない中,これまでの「人手不足」に対する対応が本当に正しかったのかという疑問も生じ,逆に「人減らし」の流れも出はじめています。
 コロナが収束したからといって,景気悪化の長期化は濃厚です。「人余り」そして「人減らし」を前提とする経営方針の転換は必然とも言えるでしょう。
 テレワークの本格導入という潮流を別の視点で考察すると,「人減らし」に向けた踊り場の設定にも見えてきます。テレワークや在宅勤務は,労使の緩やかな関係をつくり出しやすいでしょうから「人員縮小策」の実施がこれまでよりも容易になると想像できます。
 マスコミの報道などでもてはやされている場面ばかりに目を向けていると,仕組みの「本性」の検討を怠ることになるかもしれません。労使いずれの立場においても,〝防衛〟の視点が必要です。
 この流れを将来を見据えた目的達成のために活用するということであれば,徹底した検討が必要となるでしょう。
 企業の立場であれば,このターニングポイントを生かすも殺すも経営者次第です。見た目の流行に惑わされて短絡することなく,一手二手先を読みながら,有益有効な活用を模索していく必要があるでしょう。

 

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 「カルビー,単身赴任解除も 在宅勤務,無期限で延長 出社率3割に」ー緊急事態宣言の全面解除後1か月足らずの時期に報道された日刊紙が運営するニュースサイトの見出しです(毎日新聞・デジタル毎日2020625日)。

 「無期限で延長」との表現が用いられていますが,コロナ禍の延長線上にあるものではなく,「新制度」の一環として位置付け,本社や営業拠点などを対象にし,出社率を3割前後に抑えるという内容です。

 コロナ禍における在宅勤務などのテレワークの導入は,新型コロナウイルスの感染拡大に関連して「労務問題」として取り上げられたテーマであり,非常時の苦肉の策という意味合いが強いものでした。企業が従業員に対する安全配慮義務を果たす上で感染防止のために自宅待機を求めるとなれば,給与の支払義務の有無・程度が重大な問題となりますが,その問題を回避する手立てとして,まずは在宅勤務にすることを検討するのが合理的と考えられたことにあります。

 政府も,厚生労働省のHPなどで,テレワークを「感染防止に向けた柔軟な働き方」と位置付けし,新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークの新規導入に取り組む中小企業事業主を支援しています。ただ,厚生労働省のHPで公表されている「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」それ自体は,平成29年3月の「働き方改革実行計画」を受けて平成30年2月には策定されたもので,その時点では大きな流れとはならなかったのでした。

 ところが,コロナ禍においてテレワークを導入してみると,それなりに勝手が良い。それは,企業の側における「効率性」の観点からのプラス評価ばかりではなく,「通勤の苦痛なくなる」のほかワークライフバランスの観点から感染の収束後も拡大すべきだとの回答が7割に昇ったのでした(時事通信「労働に関する世論調査」)。

 

 しかし,テレワークを導入の景気とする労働環境の見直しとは別の次元,端的にコロナ禍における企業の売上減・収益減の現実においては,企業がこれまで逃れられなかった「人手不足」に対する対応が本当に不可欠の課題であったのかという認識が明確となり,逆に「人減らし」の流れも動き始めています。

 しかも,コロナ自体が収束したからといって,景気の悪化は長期化し,当分回復しないであろう現状において,「人余り」そして「人減らし」を前提とする経営構造への転換が大きな流れにもなりそうです。

 

 テレワークの導入は目に見える場面では業務効率化が強調されるけれど,その本格的な導入という大きな流れを,別の視点で観察すると,「人減らし」に向けた踊り場の設定にも見えてくるのです。テレワーク・在宅勤務の労働環境は,これまでのオフィスワーク・出社を前提とした実態より,労使の緩やかな関係を作り出すでしょうから,「人員縮小策」の実施が容易になるであろうと思われるのです。

 

 国民みんなで克服し,新たな未来が到来するといった論調が,各企業の広告や専門家の分析として目立っています。新しい時代・新たな未来がスローガンとされる場合は,ある出来事の一面を過大に取り上げて美化した物語が作られがちです

マスコミ報道でもてはやされている場面ばかりに目を向けていると,仕組みの「本性」の検討を怠ることになるかもしれません。労使いずれの立場においても,防衛の視点が必要ですし,これを将来を見据えた目的達成のために活用すると言うことであれば,徹底した検討が必要となるでしょう。企業の立場であれば,生かすも殺すも経営者次第。見た目の流行に惑わされて短絡することなく,導入するのであれば,その有益有効な活用を模索する必要があります。

 

 

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