雇用の「2018年問題」に直面:札幌の弁護士が使用者側の対応・心構えを相談・アドバイス

 

A社長 去る6月29日,「残業時間の上限規制」「同一労働同一賃金の実現」「脱時間給制度の導入」を取り込んだ「働き方改革関連法」が成立しました。マスメディアでは,「日本の労働慣行は大きな転換点を迎える」とか「企業は欧米と比べて低い水準にとどまる生産性の向上に取り組まなければ、新しい働き方の時代に成長が望めなくなる。」などと報じられています(日本経済新聞)。

 

前田 これに先立ち、6月1日に、「同一労働同一賃金」についての長澤運輸・ハマキョウレックス事件の最高裁判決が出されたほか、4月から、「無期転換ルール」が開始しています。盛りだくさんの労務環境を,雇用の「2018年問題」と呼ぶ向きもあるようです。

 

A社長 しかし,具体的にどのように対応したらよいのか,さっぱりわかりません。

 

前田 数年前から構造的な「人手不足」が急激に進行しています。一方、電通「過労自殺」事件、ヤマト運輸「サービス残業」事件などが社会問題化し、ますます労働者の権利意識が高まっているのが現況です。戦後「70年ぶりの大改革」ともいわれる労働大転換ですが、政府主導であるだけに、大きな話ばかりに惑わされることになりかねません。特に中小企業では、諸施策の対処、問題社員対策といった具体的な対応にまで及ぶことができないおそれがありますね。

 

A社長 どのようなことを対応すればよいのでしょうか。

前田  かつて、「コンピュータ2000年問題」がありました。発電・送電機能,交通機能,金融関連の機能,通信機等が停止することに加え,弾道ミサイルなどが誤発射されることも想定されるといわれていましたが,マスメディアで騒がれていたような大きな混乱は一切起きずに終わりました。しかし,コンピュータプログラムの修正作業に費用と期間が取られてしまい、中小企業などにおいて大きな打撃となったことを思い起こします。ただ、一定の対策をしたからこそ、「2000年問題」の混乱が回避できたといえるのかもしれません。雇用の「2018年問題」については、大きな話としては、事態を労働慣行の大きな転換期、迫られる生産性革命と捉えつつも、具体的な対応は、曖昧な危機感に惑わされることなく、実践的でリーズナブルに実施したいものです。

 

A社長 巷では、最高裁判決が言い渡されたり、法律が成立するたび、直ちに、多数の【緊急】セミナーが開催されていますね。先生は,セミナーを開催しないのですか。

前田 当事務所は、敢えて一呼吸置いて、「働き方改革関連法」が成立後の動向を観察し,把握し、実際にすべき具体的方策がはっきりした時点でのセミナーを開催する予定です。構造化した「人手不足」時代においては,人財の確保・定着を妨げる労務問題の事前・事後対策の考え方と方法について,実践的なキモをきちんと押さえた上で,雇用の「2018年問題」を,現時点でどのように取り込むべきかを明らかにしていきます。

 

A氏 そうですね。慌てただけで,結局,何もしないままということが多いですね。

前田 各企業は,独自性に応じて、個別具体的に、問題社員対応、諸施策の落とし込みをしてなければなりません。「働き方改革関連法」では,政党間の政治的調整で,柔軟な働き方を進めるための「脱時間給制度」については,高度プロフェッショナル制を創設するなどに止まりました。しかし,政府は,見送られた「裁量労働制」の対象対象業務拡大に向けた検討を再始動したとのことです。就業規則の制定・見直し,賃金制度の手直しはもちろんですが,長い目で法律制度の動きと企業内での社員の動きにアンテナを張る必要があります。

(2018年9月の記事です。)

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