定年制度
定年制とは、無期労働契約を締結している労働者が、一定の年齢に達した時に、労働契約が終了する制度をいいます。これは、労働契約の終了事由に関する特殊の約定ということになります。
定年制には、一定年齢に達したことにより、当然に契約を終了させる定年退職制度と、一定年齢に達したことを理由として解雇する定年解雇制度があります。
定年退職制度は、労働契約の終了事由の設定ですが、定年解雇制度は、解雇事由の設定ですので、労基法の解雇に関する規定が適用されることとなります。
定年制度は、高年齢者雇用安定法の制定とその改正により、60歳を下回る定年は違法となり、さらに、雇用機会確保措置が義務化されています。具体的には、定年制の廃止、定年延長、65歳までの継続雇用制度の導入のいずれかの措置をとらなければならなくなっています。
そして現在では、65歳までの継続雇用制度を採用する場合には、希望する労働者全員に対する継続雇用制度が義務付けられています(高年齢者雇用安定法8条、9条)。
高年齢者雇用安定法は、高年齢者等の職業の安定その他福祉の増進を図るとともに、経済及び社会の発展に寄与することを目的とし、違反に対して行政措置規定が定められていることから、公法的な性格を有しており、私法的強行性を認める趣旨はないと考えられています。
そうしますと、高年齢者雇用安定法9条1項は、65歳までの雇用機会確保措置を求める公法上の措置義務を定めたものとなりますので、この規定を根拠として、労働者が使用者に対して継続雇用制度の実施を求めたり、労働契約上の地位の確認を求めたりすることはできないことになります。
この点に関しまして、裁判所は、私人たる労働者に、…事業主に対する継続雇用制度の導入請求権ないし継続雇用請求権を付与した規定とまで解することはできない、としています(NTT西日本事件 大阪地判平成21年11月27日 高年齢者雇用安定法9条1項違反による損害賠償請求も棄却)。
しかし、再雇用拒否につきましては、権利の濫用、不法行為と認められる可能性があります(日本ニューホランド事件 札幌地判平成22年3月30日)。
使用者が、雇用確保義務に違反した場合には、厚生労働大臣は助言・指導・勧告ができ、勧告に従わない事業主については、その旨を公表できると規定されています(10条3項)。
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