解雇予告:札幌の弁護士が企業側・経営者側・使用者側の対応・心構えを相談・アドバイス
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労働基準法は、20条におきまして、使用者は労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない、と定めています(労働基準法20条1項本文)。
そして、労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合においては、この限りではないとして(労基法20条1項但書)、解雇予告制度の適用除外を定めています。
この点に関しまして、懲戒解雇の場合であれば、通常、予告手当の支払いもなく、即時に解雇されますので、この労働者の責に帰すべき事由とは、懲戒解雇の有効性とは区別された判断であり、予告期間をおかずに即時に解雇されてもやむを得ないと認められるほどに重大な服務規律違反行為または背信行為を意味することになります。
これは、懲戒解雇が有効である場合でありましても、解雇予告を省略すべきでないと認められる場合があり得ることにもなりますし、普通解雇の場合でありましても、解雇予告の適用除外事由に該当する場合があり得ることとなります(シティズ事件 東京地判平成11年12月16日等)。
また、解雇予告制度の適用を除外する場合には、労基署長による除外認定を受けるべきものともされています(労基法20条3項、労基則7条)。
つまり、除外認定を経ずに懲戒解雇として即日解雇した場合、除外認定手続を経ない代わりに予告手当を支払えば問題は生じませんが、そうでなければ、解雇の有効性や予告手当請求の可否が問題となります。
この点に関しましては、裁判例におきましては、労基署長による除外認定につきましては、事実の確認手続にすぎないことから、解雇予告や解雇予告手当が必要であるか否かは、客観的な解雇予告除外事由の存否によって決せられるとしています。
すなわち、客観的な除外事由が存在すれば、労基署長の除外認定を経ていなくても解雇は無効とはなりません(日本通信社事件 最判昭和29年9月28日)。
また、除外認定を受けていても、客観的に見て解雇予告除外事由が存在しないときは、即時解雇を有効なものとすることはできないことになります(上野労基署長出雲商会事件 東京高判平成14年7月30日)。
解雇予告手当に関しましても、除外認定を経ていなくても客観的な除外事由が存在していれば予告手当の請求はできないことになりますし(青梅建設事件 東京高判昭和47年6月29日)、除外認定を受けていても、客観的に除外事由が存在しなければ、解雇予告手当の支配義務が生じることになります。
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