懲戒権濫用法理:札幌の弁護士が使用者側の対応・心構えを相談・アドバイス

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   使用者は懲戒権を有していますので、労働者の様々な服務規律違反行為に対しまして、懲戒処分を行うか否か、複数の懲戒処分の種類の中からどの懲戒処分を選択するかにつきまして、基本的に使用者の裁量に委ねられるとされています(国鉄中国支社事件 最判昭和49年2月28日)。

   しかし、懲戒処分は、労働者に大きな職業上、私生活上の不利益を与えるものですので、懲戒権濫用法理により、使用者の懲戒権行使についての裁量が制限されています。

   労働契約法は、その15条におきまして、使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は無効とする、と定めています。

   これを懲戒権濫用法理といいます。

   労働契約法15条が定める、懲戒権濫用の判断要素につきまして、一般的には、労働者の行為の性質とは、当該労働者の行為そのものの内容のことを意味し、また、態様とは、その行為がなされた状況や悪質度合いを意味し、そして、その他の事情とは、行為の結果や労働者側の事情、使用者の対応等を意味すると考えられています。

   この労働契約法15条に関しましては、(1)懲戒処分の根拠規定が存在していることを前提に、(2)懲戒事由(客観的に合理的な理由)(3)処分の相当性(社会通念上相当)という要件で構成されているものと捉えている裁判例も複数存在します(日本通信事件   東京地判平成24年11月30日等)。

   そして、権利の濫用にあたるか否かにつきまして、懲戒解雇の事案におきまして、その行為により使用者が受けた被害の重大性、回復可能性、そのような行動に出た動機や行為態様を検討した上で判断する必要があるとされています(ブランドダイアログ事件 東京地判平成24年8月28日)。

   また、懲戒権濫用は、懲戒処分の時期についても問題となります。

   具体的には、事件から7年以上経過しており、当該事件が不起訴となったのちになされた諭旨退職処分についての事案で、裁判所の判断としまして、長期間にわたり懲戒権の行使を留保する合理的な理由はなく、不起訴処分になったにもかかわらず重い処分を行うことは通常の対応ではないなどとして、懲戒権の濫用したものがあります(ネスレ日本事件 最判平成18年10月6日)。

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