懲戒処分の根拠:札幌の弁護士が企業側・経営者側・使用者側の対応・心構えを相談・アドバイス
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懲戒処分とは、通常は、従業員の企業秩序違反行為に対して、使用者が労働者に対して行う制裁であることが明確な、労働関係上の不利益措置のことです。 裁判所は、懲戒処分につきまして、使用者が労働者に対して行う懲戒は、労働者の企業秩序違反行為を理由として、一種の秩序罰を課するものである、としています(山口観光事件 最判平成8年9月26日)。 懲戒処分は、労働者に対して大きな不利益を与えるため、使用者の懲戒権はどのような根拠に基づいて認められるかが問題とされています。 具体的には、就業規則上懲戒に関する根拠規定が存しない場合でも、使用者は懲戒処分をなし得るかという点で問題となると考えられます。 通常、使用者は、事業目的の達成のため、組織における秩序や服務規律の遵守を労働者に義務付けております。 そうしますと、労働者がこれらの義務に違反すれば、使用者は、民事法上、債務不履行として損害賠償請求や労働契約の解約などの対応ができることとなりますが、労働契約におきましては、使用者に企業秩序・規律の維持・回復のために懲戒権が認められているということになります。 裁判所は、労働者は使用者に対して企業秩序遵守義務を負い、使用者は広く企業秩序を維持し、もって企業の円滑な運営を図るために、労働者の企業秩序違反行為を理由として、当該労働者に対し、一種の制裁罰である懲戒を課すことができる(関西電力事件 最判昭和58年9月8日)、としていますが、その後には、企業は、規則に定めるところに従い、企業秩序を乱すものとして、懲戒処分を行うことができる(国鉄札幌運転区事件 最判昭和54年10月30日)とし、また、使用者が労働者を懲戒するには、あらかじめ就業規則において懲戒の種類及び事由を定めて、これを周知させておかなければならない(フジ興産事件 最判平成15年10月10日)としています。 これは、裁判所としましては、懲戒処分は、使用者が、企業秩序維持のために当然に有する固有の懲戒権であるとの立場を完全には採用しておらず、使用者の懲戒権の行使に関しましては、企業秩序維持の観点から労働契約関係に基づく使用者の権能として行われるものと考えているとされています。 これによれば、就業規則の懲戒規定が使用者の懲戒権の根拠として必要ということになります。
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