【懲戒】経歴詐称(具体例)

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   経歴詐称による懲戒処分が争われている場合、裁判所は、重要な経歴を詐称した場合にあたるか否かの判断をし、また、懲戒権行使の相当性(労働契約法15条、16条)の判断をして、懲戒の効力を審査しています。

・学歴詐称

   最終学歴の詐称に関しましては、高く詐称する場合でも低く詐称する場合でも、懲戒解雇の効力が認められています(相銀住宅ローン事件 東京地決昭和60年10月7日、スーパーバッグ事件  東京地判昭和55年2月15日等)。

   ここで重視されていますのは、当該学歴詐称がなければ、採用されなかったであろうとの事実認定です。

   ただし、経歴詐称に基づく懲戒処分につきまして、具体的な企業秩序侵害を必要とする立場からは否定された裁判例もありますし、使用者が応募者の学歴を実質的に問題としていないと見られるケースにおきましては、重要な経歴を詐称したことにはあたらないと判断されることもあります(近藤化学工業事件  大阪地決平成6年9月16日)。

・職歴の詐称

   職歴の詐称に関しましては、それが採用企業の業務に関わる経験や能力があることを詐称した場合には、採用後実際に業務遂行上の支障が生じることが多いため、懲戒解雇も有効となる場合が多いです(グラバス事件 東京地判平成16年12月17日等)。

   また、採用企業の業務に関わる経験や能力がないと詐称した場合でも、採用企業側が、経験者は採用しないという方針を明確にしている場合には、懲戒解雇の効力も是認されることがあります(弁天交通事件  名古屋高判昭和51年12月23日等)。

・犯罪歴の詐称

   犯罪歴の詐称に関しましては、起訴猶予となっている前歴、少年時代の非行行為、18年前の犯罪歴、公判継続中の事件などで、懲戒解雇の効力が否定されています。

しかし、それが採用段階で知られていたならば採用されなかったであろうといえるときには、懲戒解雇の効力も認められることがあります(メッセ事件 東京地判平成22年11月10日)。

・病歴の詐称

   病歴につきましては、表面から分かりにくく、微妙な問題を含んでおりますので、他の詐称事由と同列に考えて良いか問題があります。

   裁判例としましては、視力障害を秘匿して雇用された重機運転手を普通解雇とした事案ではありますが、健康状態を記載する履歴書欄には、総合的な健康状態の良し悪しや労働能力に影響しうる持病を記載すれば足りるとした上で、視力障害につき、総合的な健康状態の良し悪しには直接には関係せず、持病とも言い難いと判断したものがあります(サン石油事件  札幌高判平成18年5月11日)。

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