使用者にとっての就業規則の意味

 

 

 〇 あるべき就業規則の規定がなければ,著しく使用者は不利となる。
 そこで,事業経営を効率的に有利にするために必要な条項をしておく。
 〇 ただし,規定があるからといって,使用者に有利になるとは限らない。
 そこで,法律の見方をきちんと理解し,実際にトラブル化した体制をしておく。

 

 この二つのことは,経営者・管理者の皆さまに,頭にいれておいて欲しい必須事項です。
 そして,「働き方改革関連法」との関係やコロナ禍における労務問題,コロナ禍によって変容した労務問題を踏まえ,就業規則の整備を検討する必要はあるものの,必須の対処事項は限られており,やはり急務は,「働き方改革関連法」などを勘案しながらも,定番の労務問題をきちんと整備しておくことが不可欠です。

 とはいっても,これだけでは話が抽象的すぎるかもしれません。まずは,御社の就業規則をチェックリスト(無料)で御社の就業規則の達成度を点検ください。

 

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 以下では,使用者にとっての就業規則の意味について,少しだけ掘り下げてご説明いたします。興味のあるはぜひご一読ください。

 

 就業規則は,使用者が,効率的な事業経営のため,賃金・労働時間等の労働条件や待遇・職場規律などについて統一的・画一的な処理ができるように制定するルール集です。
 しかし,単なるルール集ではなく,法的効力を持つものであり,日常的な労務関係を規律するばかりではなく,ひとたび裁判になったような場合には,裁判官の判断の基準ともなるものです。

 

 労働契約の内容は,本来,労働者と使用者との間で個別に決めるべきものです(「労働契約の合意原則」)。しかし,労働契約で詳細な労働条件などが定められていない場合,使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていれば,就業規則で定める労働条件が,労働契約の内容となります(「就業規則の契約補充効」)。
 ただし,労働者と使用者が、就業規則とは違う内容の労働条件を個別に合意していた場合には、その合意していた内容が、労働者の労働条件になります

 

 もっとも,労働者と使用者が個別に合意していた労働条件が,就業規則を下回っている場合には,就業規則の内容まで引き上がります(「就業規則の最低基準効」)。この点について,配慮が足りないととんでもないことになる場合があります。労働者全員から同意をとったのに,就業規則を変更しなかったために,後日労働条件の変更が無効とされる場合があるのです。
 ここまでを踏まえ,二つの重要事項をやや詳しく説明すると,つぎのようになります。

 

1 使用者は著しく不利となる場面を避け,有利に対応できるようにするためには,あるべき就業規則の規定を設ける必要があります。
 例えば,むやみに時間外労働として割増賃金とならないよう法定労働時間の弾力化を図る労働時間制を導入する場合のように就業規則に定めをしなければならない場合があります。また,会社が労働能力が不足すると判断し従業員を一定の事実を根拠として解雇したところ,そのような事実を解雇事由とする条項はないとして,解雇が権利の濫用に該当し無効であると判断したような裁判例もあります。

 

2 しかし,規定があるからといって,使用者に有利になるとは限らない,ということも,想定しておきましょう。
 当然のことではありますが,法令や労働契約に反する就業規則は,労働者の労働条件にはなりません。

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